高円寺駅北口徒歩5分|平日 10:00~20:00 土日 10:00~18:00|タップしてカレンダーから予約

静岡県鍼灸マッサージ師会で講演をしてきました

指圧実技の非常勤講師を務めている専門学校より依頼を受けて、静岡県鍼灸マッサージ師会が主催する東洋療法セミナーの講座を担当してきました。
静岡といえば私の出身が浜松市なので、それだけで親近感が湧きます。当日は浜松から参加された先生もお見えになりました。なお、主催者の判断により、動画の一般公開はありません。

シルバーウィークの期間中、台風25号が近づくさなか開催も危ぶまれました。
東京から静岡へ向かう新幹線の窓には、もの凄い雨が打ち付けてきます。私の登壇は午後からのため、ぶじ1時間前に会場入りをすることができました。

今回は静岡県の団体に加盟する鍼灸師、マッサージ師さんを対象に講義を行います。
ご依頼いただいたテーマはPNF、神経筋促通法です。
講義のタイトルは【モビリゼーションとPNFの臨床活用術】

ここで「えっ?」と思う方もいるかもしれません。
マッサージ師がPNFや関節モビリゼーションをするのか?という疑問です。

確かにマッサージ師の養成機関で学ぶことができるのは、あん摩、マッサージ、指圧という3種類の手技に限られます。厚生労働省が認めるカリキュラム上では、この3つだけです。
そして、あん摩、マッサージ、指圧はおもに筋肉に対して手技を施します。

しかし、臨床では筋肉への施術のみで症状が緩解するケースだけではありません。
関節包や靭帯、骨に直接、刺激を入れていくほうが変化を期待できるケースも多くあります。
私自身も現場に出るタイミングで、あん摩、マッサージ、指圧以外の手技を身につけています。
今回はその臨床経験に基づいてマッサージ師が現場で使いやすい手技の紹介を行ってきました。

モビリゼーションとは何か?

徒手療法におけるモビリゼーションとは、関節に対する手技のことを指しています。
それは多くの場合、肩関節、肘関節、手関節。そして股関節、膝関節、足関節が対象です。
細かく見ていけば、さらに多くの手技があります。

今回は膝関節をテーマに説明を行いました。
ストレッチが生理的な運動方向に対して行うのに比べて、モビリゼーションは副運動に対して行われます。

具体的には
・ストレッチ …膝関節の屈曲と伸展
・モビリゼーション …大腿骨と脛骨の滑りと転がり、回旋
…このような違いがあります。

膝の曲げ伸ばし(屈曲と伸展)は意識して行うことができます。
膝を曲げる、伸ばすというシンプルな動きです。膝を伸ばすことでハムストリングスがストレッチされたり、膝を曲げることで大腿四頭筋がストレッチされます。

しかし、大腿骨と脛骨の回旋…とはどういうことでしょうか。
これは副運動のひとつ、スクリューホームムーブメントという動きです。

椅子に座っている状態で膝が伸びていくときに、伸展の最終段階で脛骨が5~10度外旋する動きです。
この動きによって膝は完全伸展位となり、まっすぐに伸びた下肢は床からの力を股関節に伝えることが可能となります。

Screenshot

写真は座位で大腿骨-脛骨の回旋を促している様子です。
残念なことに手元は写っていないのですが、この手技で肝心なことはふくらはぎをつかんでいる両手が脛骨を捉えている感覚です。

療養費に基づいた訪問マッサージの範疇に、変形徒手矯正術という名称があります。
これは関節モビリゼーションに相当するものと私は理解しています。

あん摩、マッサージ、指圧の手技は筋肉を対象に行われます。
それに対となる変形徒手矯正術は、関節モビリゼーション、PNF、関節可動域訓練などがあります。

PNF(固有受容性神経筋促通法)

講義の後半はPNFの概念の説明と実技の紹介を行いました。
固有受容性神経筋促通法は、Proprioceptive Neuromuscular Facilitationの頭文字をとってPNFと呼ばれます。

ひと言で言い換えると、PNFは運動学習です。
そのために、感覚入力をしたあと抵抗運動を行います。

立ち上がる動作の終わりに、私たちは膝をしっかりと伸ばします。
このとき、大腿四頭筋が十分に収縮する必要があります。この動きを強化するためにパテラセッティングというトレーニングがあります。

イラストでは、膝の下に丸めたタオルを置いています。
このタオルを膝裏で押しつぶすような感覚でしっかりと膝を伸ばします。このとき大腿四頭筋に力が入り、繰り返し行うことで大腿四頭筋の出力が強化されます。(力が入りやすくなります)

膝裏でタオルを押しつぶす前に、PNFでは大腿の前面を軽くタッピングます。
タッピングの刺激は神経を介して脳に伝わり、大腿四頭筋が刺激されていることを認識します。この事前の感覚入力によって筋肉に力が入りやすくなり、出力が強化されます。

この一連の流れがPNFの手順です。
講義の当日は骨盤に対するPNFを紹介しました。骨盤は歩行の際の足の動きと関係があります。
施術をする前の検査法と骨盤のPNFについては、別の機会を設けて発信したいと考えています。

Screenshot

浮き指に対する施術

講義の終わりに参加者からの質問を受けました。
「浮き指の人にはどのように対応しますか?」

そもそも足の指が浮くのは足裏と足指で床を捉えられていない状態です。
当然、足指が使えないため足元が不安定になります。
まず、どの足指が使えていないのか。感覚入力を確かめるところから始めます。

感覚入力を確かめるには、5本ずつ左右で10本ある足の指をランダムに触ります。
触れられた人はその足指が5本のうちどの指なのかを答えます。

親指、小指はすぐにわかりますが、足の人差し指、中指、薬指はわかりづらい。または中指と思ったら薬指を触られていた…ということが起こります。

使えていない指を使えるようにする、床を踏めるようにするには動かすことを考えがちです。
しかしその前に、足の指一本一本に触れて感覚を入力していくことが先。

その結果「ここは中指、ここは薬指」という認識ができて、意識して5本の指それぞれに力を入れられるようになります。大切なのは動きを学習する際に感覚入力を入れること。

講座の範囲を超えた臨床的な質問でしたが、実技のデモンストレーションを交えながら楽しく説明をしてきました。参加者の皆さん、ご清聴ありがとうございました。

よかったらシェアしてね!