40代に入ってから、「疲れが取れにくくなった」「理由は分からないけれど、いつもどこか張りつめている」「気持ちが落ち着かない」と感じることはありませんか。
病院で検査をしても大きな異常はなく、周囲からは「年齢のせい」「忙しいから仕方ない」と言われてしまう。それでも自分自身のなかでは確かにつらさが続いている。そのような声を当院ではお聞きしています。
脳と疲労との関係について
このような慢性的な不調は、筋肉のコリや姿勢の問題だけでは説明できない場合があります。
背景には日々の緊張や気遣いが積み重なった結果として、脳と自律神経の過緊張が関わっています。その理解の助けになるのが、脳を三つの層として捉える考え方です。
脳は進化の流れの中で、古い働きの上に新しい働きが重なるように発達してきました。
もっとも古い脳は生命を守るための反射や緊張を担う層(脳幹)、二番目は感情や安心感を司る層(大脳辺縁系)、一番新しく考えたり判断したりする層(大脳新皮質)。この三つは別々に存在しているわけではなく、下層の脳の状態が、上層の脳の働きに大きく影響します。

忙しい毎日が続くと体は無意識のうちに「まだ休めない」「気を抜けない」と判断します。
呼吸は浅くなり、肩や首、顎に力が入りやすくなります。これは日々、頑張っている人ほど起こりやすい反応であり、決して疲れや弱さの表れではありません。体と脳が役目を果たそうとしている状態なのです。
この状態が長引くと、気持ちにも変化が現れます。
ちょっとしたことで不安になったり、以前なら流せたことが引っかかったりするようになります。「分かっているのに、気持ちがついてこない」と感じるのは、感情を司る脳(大脳辺縁系)が先に反応しているからです。
さらに体が緊張して感情が高ぶったままだと、考える力にも余裕がなくなります。集中できない、自分を責める考えが浮かびやすい、といった変化は本来の能力が落ちているわけではありません。考えたり判断したりする大脳新皮質の働きが低下していることの表れです。

上手に休息をとるための秘訣
多くの場合、このような状態のときに「考え方を変えよう」「もっとリラックスしなきゃ」という努力をします。スマホを眺めていても、一時的にマッサージを受けてみてもその場しのぎに過ぎません。
脳と神経の仕組みから見ると、心と体の回復は必ず体のほうから先に始まります。体が安全だと感じてはじめて気持ちが緩み、余裕をもって考えるゆとりが生まれてきます。
当院で大切にしている手あてや指圧は、体と脳を休めることを優先するという考え方に沿っています。特定の場所を強く押したり、骨格を無理に矯正したりすることはありません。
手の温かさとやわらかい安定した圧を通して、体性感覚から大脳へ「ここでは力を抜いてもいい」という感覚を伝えていきます。手あては言葉よりも確実に体と脳に安らぎを届ける手段です。

施術中、呼吸が自然にしやすくなったり、ため息やあくびが出たり。触れていない部分までふっと緩むことがあります。手足が温かく感じたり、施術後に「気持ちまで軽くなった」と感じる方も少なくありません。これらは大脳皮質に偏っていた緊張がほどけて、脳幹に血液が巡り始めた表れです。体と脳が緊張を手放し始めたサインと言えます。
40代からの体との向き合い方
40代は無理がきかなくなる時期ではなく、これまで頑張ってきた体と向き合い直す時期と言えます。今まで当たり前のように背負ってきた緊張を、一度下ろしてみる。そのきっかけとして、体を休めて整えていくことはとても自然な選択です。
理由がはっきりしない不調や疲れは、脳と体からの大切なメッセージです。
そのサインを無視せずに一旦、立ち止まってみてください。手あてと指圧を通して体の不調に寄り添うこと。それが、当院の施術の根底にある考え方です。

