肩の痛みや腕が上がらないといった悩みは、40〜60代の方に多く見られます。「これって五十肩？それとも肩こり？」と不安に思われる方も多いと思います。
今回のブログでは一般的な違いの説明に加えて、当院に来院された40代男性の症例報告を紹介します。
「五十肩と思っていたら、実は別の原因だった」というケースを紹介することで、皆さまの判断の参考になれば幸いです。
五十肩とは？（40〜60代に多い“肩が上がらない痛み”）
五十肩（肩関節周囲炎）は、肩関節の内側で炎症が起き、関節を包む靭帯などが固くなる病態です。特に40〜60代に多く、家事や仕事で肩をよく使う女性が悩まされやすい症状です。
・髪を結ぶ時につらい
・洗濯物を高い位置に干すと痛む
・背中に手を回せない
・夜中にズキズキして眠れない
こうした症状がある場合は、五十肩の可能性が高いと考えられます。
肩こりとは？（筋肉の疲労で起こる症状）
一方、肩こりは筋肉の疲労や血流の滞りによって起こります。「重い」「だるい」「張る」という感覚が中心で、腕が上がらなくなることはほとんどありません。
・スマホやパソコン作業の姿勢
・家事のときの前かがみ姿勢
・冷えによる緊張
・精神的ストレス
こうした生活習慣が原因になり、温めたり軽くほぐすことで改善しやすいのが特徴です。
【症例報告】五十肩かもしれないと来院した40代男性
ここからは、実際の症例をご紹介します。
40代男性のEさんは 「五十肩かもしれない」と不安に感じて来院されました。
問診で様子を伺うと「左肩が上がらず、五十肩のような痛みがある」という訴えです。
年齢としては五十肩が始まってもおかしくない時期なので、念のため詳しい検査を行いました。
痛みの部位は「左肩 三角筋前部線維」
痛みの主訴は、左肩の三角筋前部（肩の前側）にズキッとした痛みがありました。
特に肩を前に上げる動作（屈曲）で痛みが強く出ると訴えでした。
可動域検査
右肩： スムーズに腕を上げることができました
左肩： 腕を上げると70度位の角度で痛みが出て、それ以上挙げられませんでした
身体の反応点
施術前に全身のバランスを確認したところ、背中（肩甲骨まわり）と右側の肋骨に強い緊張と反応が見られました。
肩の痛みで来院される方の多くは、痛い側だけが原因と思われていますが、じつは反対側の肋骨や体幹のねじれが肩関節の動きを制限しているケースも多いのです。
施術内容と改善の経過
施術では肩そのものに強い刺激を入れるのではなく、背中と右肋骨周辺の反応点を中心に整えていきました。当院の施術では、BRM療法®と大上メソッドという手技を組み合わせて施術を行っています。
施術後の変化
施術後は左肩の痛みが明らかに軽くなった様子でした。
左腕をまっすぐに上げると、その場で160度位まで挙げることができました。
１回の施術でここまで動きが改善したことから、今回の症例は「五十肩の典型例」ではなく、僧帽筋の緊張や肋骨のゆがみにより肩の前側に負担が集中したケースであると考察しました。
この症例から分かること
今回の症例では五十肩のように腕が上がりにくい症状がみられましたが、その原因は肩そのものに原因はありませんでした。
◎ 五十肩の典型例は
・多方向に動かしにくい
・夜間痛が強い
・肩関節の内部の炎症が中心 ですが、
◎ 今回の症例は
・年齢は五十肩が起きてもおかしくない40代
・しかし痛みは一方向の肩の動きに限局
・原因は肩以外の筋緊張（背骨・肋骨まわり）と推定
このように「肩が上がらない＝五十肩」とは限らず、別の原因で似た症状が出ることもあります。
五十肩とも肩こりとも違う「姿勢や体幹のゆがみによる肩の痛み」もありますので、自己判断は難しい症例と言えます。
（患者様のプライバシーに配慮し、写真はご本人とは関係ありません）
肩が上がらない時は一度ご相談ください
今回の症例からも分かるように、五十肩と思われがちな症状でも実際には他の部位が原因のことがあります。とくに、
・痛みが急に出た
・片側だけが痛い
・一部の動きだけがつらい
・姿勢の乱れが気になる
このような場合は、早めに専門家に見てもらうことで、症状緩和までの時間を大きく短縮できます。
「五十肩かも…」と不安を感じたら、どうぞ気軽にご相談ください。あなたの肩の状態に合わせて最適なアプローチをご提案いたします。
