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YAMI大東洋医学ゼミ「からだ塾」に参加してきました

6月7日、8日の約1.5日にわたって開催されたYAMI大東洋医学ゼミ「からだ塾」に参加してきました。
YAMI大って何?東洋医学って?
…私がこれまで積極的に関わりをもって来なかった鍼の思想にふれて、実践した記録です。

YAMI大とは何か?

YAMI大という言葉を初めて聞いたとき、何だろうと思いました。
YAMI=闇。

闇ってどこか恐れを思い出させたり、暗がりで何かしているというイメージが浮かんできます。
ネットで「YAMI大」と検索すると、出てきました。

ひとつは、東洋医学研究会。
今回、参加した合宿を開催しているクロ-ズドの団体です。

2つ目は、Facebookの学部交流クラブ、こちらは2022年が最後の投稿です。
3つ目は、U-35くらい学部、
裏口入学の募集ボタンがあるのですが、活動の記録は伺えませんでした。

もう一歩踏み込んで検索してみると、noteの記事を見つけました。
以下に一部を引用します。

【YAMI大学は、コロナ情況の中で解体されていく旧来型の教育システムを眺めながら、敗戦後の闇市の中に立ち上がる新しい学びの場です】という一文を見つけました。

いろんな有料講座があって、お金の匂いがプンプンします(失礼)
現在も活動しているのかは不明でした。

閑話休題。
深呼吸学部を紹介する一文に、このような表記がありとても共感しました。

【学校というフレームに価値があるのではなく、教える人と教えられる人とが作り出す学びの時間と空間が大切だと思います。】
これは私がつねづね感じ取ってきたこととほぼ同義のエッセンスです。
「授業は切り身だ」と私は思っています。

もちろん、教える人も学ぶ人も真剣に一期一会の出会いをします。
しかし一度、学校というフレームに入ると組織化、体系化されたことにより、やがて創立当初の熱量は形骸化されてしまい、本質が見えづらくなる。

創立者が伝えたかったことは、薄まりながら広がり伝わっていく…という気がします。

ともあれ、教える人と教えられる人とが作り出す学びの時間と空間というフレーズはとても共感しました。
梅雨入り前の6月に湯河原で開催される合宿では、どのような出会いがあるのか楽しみに参加しました。

穏やかな時間が流れる、素敵な空間

YAMI大東洋医学ゼミ「からだ塾」を主催する田口ランディさんとは、熱海の鍼灸学校でご縁をいただきました。
私が指圧実技の非常勤講師として着任した同じ年に、彼女も一学生として入学してきました。実技にとても熱心で、いつも明るい雰囲気を醸していたのが印象的でした。

そのご縁から、今回の合宿に参加する流れになりました。
じつはその前にもオンライン講座などは受講しています。しかし何事も、興味を持ったらリアルでお会いして話を聞くのが一番、これも私のポリシーです。

受講する立場は、いつも新鮮です。
普段は私が伝える側が多いので、とくにそのように感じるのだと思います。

会場は、湯河原リトリート ご縁の杜
落ち着いた雰囲気のあるとても素敵な空間です。

通路の一角や階段の途中、いたる所に1500冊ほどの本が置かれています。私の興味のある分野が多くて、「これはまた泊りに来なくては!」と入った瞬間に思いました。

エントランスで受付を済ませると、スーツケースを置いて会場に入ります。
一階にある畳敷きの和室、ざっと数えたところ70畳以上はあるのかな。

天井も高く広々とした心地よい空間です。
ウェルカムソングが聞こえてきます。

♪ 世界に朝が来る…という心地よいフレーズ。

流れている曲名を知りたくて、音声検索をしたのですが出てきません。
あとから教えてもらったのですが、田口さんが作詞・作曲した歌なのだそうです。
AIを使って作曲しAIに歌わせている、というちょっとした衝撃。すごい時代になったものです。
聞きたい方は『世界に朝が来る suno』で検索してみてください。

やがて時間になり、開講の儀。
田口さんによるアチューメント(宣誓)が行われました。
こういう時、言葉って記号から脱却して意味を持つんだな、と感慨深く思いました。

アウェイ感満載、緊張感いっぱい。

さて、やっと本題です。
講師の山本克仁先生が話を始めます。

山本先生は北辰会という鍼灸学術団体で後進の指導に当たっている鍼灸師です。
なんだか恐れ多くて勿体ないと感じるのは、ある理由のため20年来、私が鍼灸を避けてきたからでしょう。
おのずと聞く姿勢も体がこわばっていたに違いありません。

まずは自己紹介。
鍼灸師の方もいれば、東洋医学に興味のある一般のかたも大勢いらっしゃいました。

最初のワークは、ロックバランシング。
いわゆる「石積み」です。

田口さんとスタッフの方たちが海岸まで行って拾ってきた石。
平べったい形もあれば、丸いものもあります。それをバランスを取りながら積み上げていきます。

私にとって人生初めての体験。
写真で見たことはありますが、石を持つ手にプルプルと力が入ってしまいます。
数分してまわりを眺めると、すでにバランスよく石を立てている景色が見えるじゃありませんか!

私は何度やってもコロンコロンと石が転がってしまいます。
うまくバランスをとれるところはどこだろう…そんなことを思いながら、いつの間にか手に力が入っているのに気がつきました。

「これって指先でやったらダメなやつじゃないか?」

そう気づいたら、あとは感覚を石から離して自分の後ろ側、骨盤のほうにもっていきます。
自重が地面と調和して、どっしりと座っている感覚。いつも施術に入る前に行っている私なりの身体感覚です。

ひとつの石はたいらな形をしていて、そのまま畳みのうえに置きます。
その上に卵型の石を立てる。厚みのあるほうを下にしてバランスを取り、とがったほうを上にする。簡単に見えて、ざらざらした面が微妙にかみ合うところを探します。

するとしばらくして、石がバランスして立ち上がるところを見つけました。
やったね!

講師陣の1人が声をかけてくれます。
そして、こう言いました。「もっと難易度の高いヤツをせなぁ」

そう、次は卵の先のとがったほうを下にして立てるのです。
これには難儀しました。
指先に力が入りながら、されど脱力を心掛けること数分間。とても長い時間に感じましたが、ついにその瞬間が来ました。

「やった!」おもわず心のなかで叫びます。

ふたつの石の軸と軸がパチッと揃った光景はとても美しく、しっかり床を捉えて天に向かって立ち上る柱のようにも見えてきます。
こうして時間内に2回も石を立てられたことに大満足。

場の緊張をほぐす、とても素敵なアイスブレイクの時間になりました。

鍼灸とは何か?

いよいよ次は鍼の講義です。

鍼といってもさまざまなスタイルがありますが、北辰会はさまざまな身体情報を集めて、そこから証を立てて(医師でいう診察と診断をして)最後に1ヶ所または2,3ヶ所に鍼を打つという独特なスタイルです。

私のような初学者もいるので、これは欠かせないという基本的な内容を丁寧に指導してくださいます。
舌を見る、お腹に触れる、脈を診る。
専門的には舌診、腹診、脈診と言います。

医療機関では検査機器が体のデータを取るのが当たり前になっている現代で、こうして古典的に目と手を使って感覚を指標に体の情報を取るトレーニングはとても貴重なものだと思っています。

とくに難易度が高いと感じたのは脈診。
左右の手首にふれて橈骨動脈の脈を取ります。
脈の幅、力強さ、押し返してくる弾力性など…ほかにも得られる情報はたくさんあるのですが、いまの私はこの3つさえ覚束ない状況です。

「先生、そんなに緊張しないでよ」と田口さんに言われます。

もともとできてるんだから、いつものようにやればいい。
確かにね。そういう確信はあって、20年来の自分の経験がほかの分野ではどんなふうに通じるんだろう、というチャレンジ精神をもって参加しているのは間違いないです。

しかしおそらく、私の先入観が体を緊張させていたのでしょう。
初めてだから最初からできるのはオカシイんじゃないか…という間違った謙虚さ。
「俺はできるんだぜ~」とやる気満々で臨んで、できなかったら恥ずかしいという虚栄心がそうさせていたのかもしれません。

東洋医学は差分を見る

舌を見るのは、色、つや、形を確かめるため。
お腹に触れるのは、冷え、かたさ、弾力性を捉えるため。
脈を診るのは、右と左を比べて違いを比べるため。

専門的にはもっと多くの情報があるのでしょうが、まず知るべきは差分。
とくにツボ(経穴)に触れるのは、虚と実の違いを捉えるためです。

虚=くぼみ、実=でっぱり。

分かりやすく言うとそんな感じ。
体のなかには流れがあり、その流れが滞ることで足りないところ(虚)と多すぎるところ(実)が生じます。その偏りが症状を生み出す。偏り=差分が大きい所ほど重症です。
そして、その偏りに対して足したり引いたりするのが東洋医学の本質と私は理解しました。
足したり引いたりというのは、虚を補す、実を瀉すと言います。

3人一組で行ったワークは、体の見立てから4つある経穴のうち一つを選んで、そこに鍼をあてるというものです。
鍼といっても鍼灸師が使う刺す鍼ではなく、自分で作成してきた鍼のようなもの。
私はパロサントというバニラのような香りのする香木を削って、一方の先端を尖らせてきました。

手首のあたりにある合谷と外関。
足首のあたりにある太衝と太渓。
最終的にはこの4つのうちひとつを選んで、補する(足す)のか瀉する(引く)のかを決めます。

ペアを組んだ相手は同い年の鍼灸師さん、北辰会のベテランです。
もうそれだけでもドキドキしてしまうのに。

舌の特徴、お腹の特徴…なんとなくこんな感じ?
脈は右が強いかな。経穴は…右の合谷が実していて、左は虚している。
外関も虚実の差はありそうだけど、合谷のほうが差が大きいように感じる。
足のツボはそんなに差はない感じ。

ここまで見立てをして、右の合谷にパロサントの鍼を使って瀉することに決めました。
鍼を近づけたり遠ざけたりして刺激をします。実際に皮膚に刺すわけではありません。

それは普段、私が行っている「手あて」にも似ています。

体と対話しながら最終的な1点を決めて、そこにふれて待つ…
そんなことを思い出していると、右の手首から右半身を抜けて、スーッと足のほうに何かが流れていくような手応えを感じました。そのときの感動やいかに!!

「おぉ!これか」とすぐにでも祝杯を上げたくなりました。

おそらくはビギナーズラック、鍼の神様もチラッと微笑んでくれたのでしょう。
気分よく、1日目の講義を終えることができました。

夜の特別講義・身体感覚講座

この合宿に参加したのは田口さんとのご縁からと記しましたが、もう一つの目的として鍼灸師のための姿勢の取り方をお伝えする場を設けていただきました。

それが、夜の特別講義。
テーマは「鍼灸師のためのポジショニング」です。
ポジショニングとは姿勢のこと。脈を診る、鍼を打つときの姿勢ひとつ工夫をすることで、施術の効果がガラッと変わります。

私自身は鍼師免許を持たないため、鍼を打ったことはありません。
しかし体の使い方という観点から、どのような姿勢をとればムリなく仕事ができるのか。このことはずっと考え、身につけ、磨き上げてきました。

そのエッセンスを一人ひとり、手を取って指導したいという私の希望から、今回は参加者を鍼灸免許を持つ方、鍼灸学校に通っている方数名に限らせていただきました。ほかに希望する方は同じ会場で聴講していただくスタイルで十数名の方を対象にお話ししました。

さてポジショニング。
これはグラウンディングとセンタリングという言葉に分けられます。
・グラウンディングとは、地に足をつけること
・センタリングとは、中心軸を保つことです。

施術に夢中になってしまうと、どうしても前のめりになったり、姿勢が左右に偏ったりします。それを修正していくための技法です。

テーマとして、足裏、骨盤、背骨の保ち方。
手のひらをやわらかくするトレーニング。
上肢と体幹を連動させるやり方を紹介させていただきました。
おまけの深部感覚のトレーニングは遊び心をもって練習するとちょうどいいです。

…20年分のエッセンスを60分にギュッとまとめて話す、伝えることに夢中になるあまり、指導の様子を写真に撮ることは忘れていました。手元にあるのは板書の写真とスタッフが撮影してくれた動画です。

そして、受講後のアンケートを読むと、受講生それぞれに新たな気づきがあったことが伺えました。
姿勢を保つためのトレーニングを実践します、という意欲的な感想もありました。

人が一人でできることには限りがあります。
このような場をお借りして私が経験してきた要諦をほかの方々にも伝えていく際には、その先により多くの人が健康になっていく姿を想像しながら話をしています。
いつも指導している方々とは違う鍼というジャンルでも、根底にある体の使い方の本質はきっと同じなんだ!と納得して合宿の記録を終えたいと思います。。

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