山に魅せられた女性が腰痛と足のしびれを克服して、西穂高岳に登れるまでになりました。
痛みが解消するだけでなく、やりたかった趣味を再開できることは何よりの喜びと思います!
今回のブログでは、ふたたび登山ができるようになるまでの記録として綴ります。
初診時の様子と患者像
S様は、腰痛に加えて右臀部〜大腿とふくらはぎにかけて痺れがあり、来院されました。
普段はデスクワークの仕事をしているため、1日8時間ほど座っている状態です。また、副業として整体の仕事もされています。
初回のカウンセリングで話を伺うと、過去に頚椎ヘルニア(C4,C5)の診断を受けていた時期がありました。
施術経過の記録
2025.9.19/1回目
腰に痛みがあり歩くのが辛い、という訴えです。
また右足のしびれも見られました。
毎回の検査では、体を前屈、後屈したり、横に倒して(側屈)もらいます。
ベッドに座って体を右にひねると動きの制限がありました。施術後(写真右)には右回旋の可動域が15度ほど広がっています。
施術後には日々のケアとして、散歩をすることをお勧めしています。

2025.10.2/2回目
2回目の施術では、まず1回目の施術後の経過を伺いました。
・右足の痺れは取れてきた
・歩くと痛みは戻ってくる感じ
・デスクワークで座りっぱなしだと痛みが出てくる
・くしゃみをすると腰が痛い
このような状態から2回目の施術を始めました。
背中からふれて反応を辿っていくと、しびれのある右ではなく左下肢に反応点がありました。
この日は足の施術がメインとなりました。
施術後には足元が安定して鳩尾から上が反りやすくなっています。


2025.10.16/3回目
この日も左下肢に反応があったため、足が中心の施術となりました。
また胸郭でも反応があり、反応点にふれていると咳き込みがありました。
整体の仕事を2人施術したあとは右臀部に痺れが出るとの訴えもありました。
右股関節が詰まる感じになるようで、施術中の姿勢を工夫するようにお伝えしています。
全身の調整をした後に立ってみると、足の裏に体重が乗った感じがあると仰いました。


2026.10.30/4回目
・3回目の施術後、夜寝ていても咳が出なかった
・寝る前に薬飲まなくてもいいと感じた
・呼吸が楽な状態が5日間ほど続いた
・先週土曜日に高尾山へ行ってみた
ちょっとこれには驚きましたが、それだけ回復してきているのだと思います。
この日の施術では、右の烏口突起近くに反応点がありました。ここは呼吸器の症状に対するポイントでもあります。
調整する場所が変わるのは、それだけ体が変化して行っているタイミングだと考えます。
このあと4~6回目までは右半身の施術が続きました。

2025.12.11/8回目
・デスクワークを1日8時間しているとのこと
・首のヘルニアのことを話されました
この日の施術では、前頚部に反応がありました。
ヒトは腰と首で立位や座位のバランスを取っています。ターニングポイントとなる重要な施術回でした。乳様突起の調整も行っています。
2025.12.25/9回目
右下肢に痺れがあり、痛み止めの薬を飲んで痛みを抑えていると仰いました。
施術を続けていくと、よくなっていく時期から一転してまた症状が出てくる場合もあります。
この日は鳩尾と膝まわりの施術がメインとなりました。呼吸を伴った胸郭のストレッチも併せて行っています。


2026.1.23/11回目
右足先にしびれがあるとの訴えでした。
歩行状態を確認したところ足の運びに左右差が見られたため、骨盤と股関節の調整を中心に行いました。
まっすぐに立つ、歩くという基本的な動きをする際に、床を踏む力が膝から股関節をまっすぐ通過して骨盤の中心に伝わるように調整しています。
2026.3.5/14回目
施術前のカウンセリングでは、
・朝のしびれが弱くなってきた
・骨盤を立てると痛みが出る
・骨盤を後傾すると痛みはない…と仰いました。
施術前の検査で座ったまま体をひねる(回旋する)と腰に痛みが見られました。
骨盤を中心に全身の調整を行っています。
2026.4.10/16回目
・絶好調なくらいに体がよくなった気がします
・床で施術をしていたら右ひざが変な感じになった
・朝はやや痛みがあり、日中動いていると気にならなくなる
…という状況でした。
この日の施術では右下肢に反応がありました。
とくに右脛のあたりに強い反応点がありました。
2026.5.7/18回目
GW中に西穂高岳に登山に行ってきたと嬉しそうに話してくださいました。
軽装で出かけられる程度の距離でしたが、下山するまで山を楽しめたと嬉しそうなご様子でした。
山を下りた後に疲れと筋肉痛を感じたと仰っていましたので、この日は大腿四頭筋など足の筋肉をおもに施術して血行と柔軟性の回復に努めました。


まとめと感想
今回のケースでは、施術を重ねることと症状がよい方向に変化していくことは、必ずしも直結していない経過でした。
1+1=2になる
これは算数では当然の帰結です。
しかし、ヒトの体が回復していく過程ではよくなっていくこともあれば、一見すると症状が悪化している、または他のところに痛みが出てくる現象があります。
3カ月や半年という長い期間でみれば体はバランスをとる方向に変化しているのですが、一時的には施術を受けて辛くなることがあります。これはどういうことか考察してみます。
腰の痛み、足のしびれという表面化している症状のほかに、今回のケースでは呼吸器の課題も抱えていたことが挙げられます。
つまり夜間に咳込みがあることで胸椎や胸郭という肺と心臓を守っている骨格と筋肉も影響を受けていて、全身の動きが制限されていた状態も根底にあったと推測しています。
胸椎の動きが制限されれば、その代償として腰椎もしくは頚椎に必要以上に負担がかかります。
やがて、過剰な力を吸収するために頚椎や腰椎が正常範囲を超えて動き過ぎてしまいます。
その結果、首に症状が出たり(頚椎ヘルニア)または腰の痛みや足のしびれとして現れたという仮説です。
3回目、4回目の施術では胸郭など呼吸器に関わる部分に施術をしていますが、ここも治癒に向かうターニングポイントと考えています。
①足腰のバランスをとる →
②骨盤が安定することで胸郭、頚部の施術をして回復を図る →
③②により全身のバランスが変わるので(このとき一時的に下肢の症状が出る)
再度、全身性にバランスを取り戻す
④全体的に骨格のバランスが変化して骨盤と脊柱が安定する
初回の来院時には「歩くのが辛い」と訴えていたのが、3回目の施術のあとには高尾山に行ってみようと思えるようになりました。
そして、全身のバランスが再構築されていく過程で、約半年後には残雪が溶け始めた西穂高岳に登ることができるようになりました。
諦めかけていた趣味を再びできるようになったのは人生の大きな喜びと思います。これからさらに体力をつけて、山登りを楽しんでください!!

